『発音なんてどうだっていいじゃん』にどう答えるか
「英会話なんて、相手に通じればいいんだから。発音なんてやらなくてもいいんだよ。」
「発音よりフィーリング。気合いで何とかなる。」
「カタカナ英語でも文法さえ合ってたら大丈夫!身振り手振りでもなんとかなるし。」
…こんな意見、よく耳にしますね。いまだに。果たして本当でしょうか?
特級の先生方はなんて答える?
先日開催した【英語発音技能検定EP-Pro®】特級ホルダーZoom交流会で、参加者のおひとりから「『発音なんてどうでもいいじゃん!』という生徒さんにあなたはいつもどうやって答えていますか?」というお題が出されました。
『発音なんてどうだっていい!』 とおっしゃる生徒さんに遭遇した経験は、英会話講師さんなら誰でもあるはず。【英語発音技能検定EP-Pro®】特級ホルダーの先生方はどんな返答を用意していたかというと…
■ 本来の音ではない発音を聞き取ろうとすることは、聞き手にとっては、やっぱり大変なストレスになります。相手にずっとストレスを与えたままで、あなたは気になりませんか?
■ (大学生に向けて)もう既にネイティブの先生から学ぶ幼稚園児や小学生が増えてきている中、10年後、20年後のビジネスの場で、あなたはそんな環境で学んできた人達にどんどん追い抜かされてしまう可能性があるんですよ。今からでも遅くないから今のうちに発音をしっかり身につけましょう!
■ 初めに発音をきちんと身につけてしまえば、あとの英語の勉強が楽になります。ネイティブスピーカーの英語が聞き取れて理解できるからついていける。ついていけるから、やる気も増します。小さいうちに正しい発音を身につけた子は、中学生や高校生になっても、英語学習を進めていく途中で脱落しにくくなります。
■ 厳しい現実として、ビジネスの場では発音が悪くてコンペで落とされる、ということが頻繁にあります。どんなに内容が良くても、聞き取りづらい発音では内容が頭に入ってこないのです。ネイティブスピーカーでさえ、交渉力や説得力を上げるために、スピーチやプレゼンを磨くトレーニングをしています。相手に響く話し方の訓練をしているのです。そんな中、聞き取りづらいカタカナ英語で、果たして対等に戦うことができるのでしょうか?話者の発音がクリアであるからこそ、聞き手に熱意がきちんと伝わります。発音は武器になるのです。
■ 発音も、話し方も、その人のアイデンティティそのもの。自分が発する「音」や「ことば」は自分の一部であり、人格なのだ、という自覚を持たなければならない。
■ 履歴書を書く時、なるべく丁寧に、読みやすい字で書きませんか?「読めればいいんだから」と書きなぐる人はいませんよね?発音だって同じです。
■ 発音が上手で”損”な目に遭うことはまず、ありません。デメリットはひとつもなく、メリットしかない。
・・・いかがでしたか?ごもっともなご意見ばかりです。
ちなみに私自身は、「発音がきれいなおかげで得をした」という経験が山ほどあります!(反対に、「発音がきれいで困った!」という経験はひとつもないです!笑)
指導者としての心構え
最後に、一番心に響いた言葉をシェアします。
「英語学習者、または一般的な英会話では、ネイティブスピーカー並みの美しい英語発音まで追求する必要はないかもしれない。しかし、英語の教師あるいは指導者となれば、話は別です。指導者の役目は『必ず通じる発音を教えること』なのです。」
まさにその通りです。
このコラムを書いたのは…
菅沼直子 一般社団法人Triple C協会代表理事 2男2女の母
1972年東京都出身。5~9歳までの間、アメリカのサンフランシスコ郊外で過ごす。帰国後は公立の小・中・高で学び、1995年慶應義塾大学環境情報学部卒業。子どもの小学校入学をきっかけに東京都内で小学校英語活動のゲストティーチャーを6年間務める。離婚後、子ども 4 人を連れて和歌山へ移住。生活のために始めた英会話講師の仕事を通して『地域による教育格差』と『根深い日本人の英語発音コンプレックス』を強く感じ、この2つを解消できる方法を探るようになる。英語を教える先生のスキルアップこそが日本人の英語コンプレックスを無くしていくカギとなるのではないかと考え2017年より【英語発音技能検定EP-Pro®】及び【英語発音技能測定テストEP-Jr®】を開発運営開始。2021年には音声連動型【英語学習教材シリーズEP-edu®】を開発。